【2026年版】建設業界と仮設業界の最新動向
―市況、着工戸数、人口減少、人手不足、海外人材、DX、新工法まで徹底解説―
日本の建設業界は、人口減少による市場縮小が懸念される一方で、老朽インフラの更新需要、再開発プロジェクトの増加、住宅性能改修工事の拡大など、依然として大きな需要を抱える産業です。
同様に、仮設業界も、これらの工事を支える必須インフラであり、近年は安全規制の強化、先行手すりの普及、次世代足場の導入、技能者不足への対策など、環境変化が著しい分野です。
本記事では、建設業界と仮設業界を取り巻く現状と課題、今後の方向性を整理しながら、足場メーカーとしての視点から分かりやすく解説します。
Contents
1.建設業界の市況

2025年の建設投資動向を見ると、まず公共工事では、老朽化したインフラの更新が本格的なピークに向かう時期にあり、橋梁・トンネル・学校・公共庁舎といった社会資本の更新需要が継続することで、投資は安定した推移が続く見込みです。一方で民間建設投資は、金利上昇や資材価格の高止まりといった要因から慎重姿勢が続いており、新築案件は選別傾向が強まっています。
しかし、都市部では東京・大阪・名古屋を中心に大型再開発プロジェクトが複数進行しており、オフィス・商業・住宅を一体化した複合開発が建設市場を下支えしています。また、省エネ改修や断熱強化、耐震補強、既存建物のリノベーションといった改修市場は依然として堅調です。
とりわけ、老朽化した橋梁・トンネル・上下水道施設・公共建築の更新需要は、国土交通省の長期インフラ計画でも2030年頃まで増加する見通しが示されており、これらの工事は大規模な足場・仮設設備を必要とするため、仮設業界にとって非常に重要な需要源となっています。
2.着工戸数の推移と今後の見通し

日本の新設住宅着工戸数は長期的に減少傾向が続いています。近年のピークは2013年の約98.7万戸であり、その後は人口減少や世帯数の伸びの鈍化を背景に縮小が進み、2024年には約79万戸と80万戸を下回りました。少子高齢化や世帯数の頭打ちを背景とした縮小基調は今後も続く見通しです。
その一方で、マーケット全体が縮小しても特定のセグメントでは底堅い住宅需要が見られます。たとえば、都市部の戸賃貸住宅建設は、投資マネーの流入が続くことで一定の着工量を維持しており、さらにZEH(ゼロエネルギーハウス)対応の建替え需要も引き続き増加しています。また、ストック活用の流れから中古住宅リノベーションや部分改修工事が拡大しており、住宅分野における工事内容が「新築中心」から「改修・更新中心」へとシフトしています。
このように、近年はリフォーム需要の拡大や非住宅分野(商業施設・倉庫・工場など)の工事増加によって、仮設資材需要は一定の水準を維持しています。住宅着工の減少という構造的トレンドの中で、仮設業界には多様化する工事ニーズに柔軟に対応する力や、更新・補修工事に適した効率的な足場システムの提供がますます求められています。
3.建設業の高齢化と技能者不足が仮設業界に与える影響

日本の建設業では、技能者の高齢化が深刻さを増しており、現在では55歳以上の技能者が全体の35〜40%を占める状況となっています。一方で、将来の担い手となる29歳以下の若手技能者は10%台にとどまるという極端な年齢構成の偏りが続いており、業界全体の人材確保に大きな課題を抱えています。
この構造的な「人手不足」と「高齢化」は、現場ではいくつもの問題が顕在化しています。仮設業界においては、まず足場組立に必要な技能者が不足することで、1人あたりの作業負荷が重くなり、日々の現場運営に無理が生じやすくなっています。また、高齢化による体力差や作業効率の低下により、現場の品質管理と安全管理の難易度が上昇している点も無視できません。
さらに、技能伝承を担う世代が不足することで、若手の育成が十分に進まず、教育体制の停滞も大きな課題となっています。これは業界特有の「技能職依存」構造と密接に関係しており、経験や技術が積み重なって成り立つ現場作業において、若手が定着しにくい環境が続いていることは長期的なリスクとなります。
労働集約型である建設業界にとって、人材問題は事業継続そのものに直結する最重要リスクといえます。人手不足が慢性化すると、工期遅延や安全性低下につながるだけでなく、新規案件を受注できない構造的な制約となり、企業成長のボトルネックになる可能性もあります。
今後は、若手の採用・定着、技能継承の仕組みづくり、作業環境の改善、そしてDX・省力化機材の導入など、多角的な取り組みが不可欠です。建設業界全体が持続可能な体制へと移行できるかどうかは、この「人材問題」にいかに向き合うかにかかっています。
4.建設業界で進む海外人材活用

建設業界では、深刻な人手不足と技能者の高齢化を背景に、海外人材の活用が重要なテーマとなっています。とくにフィリピン、ベトナム、インドネシア、ミャンマーといった国々からの外国人技能者の受け入れは年々増加しており、現場における重要な存在となっています。
近年は、国が進める技能実習制度から特定技能制度への移行によって、建設分野でも外国人が“長期就労”できる環境が整備されつつあります。技能実習制度は国際貢献が主な目的で在留期間は最大5年でしたが、特定技能制度では、長期的な就労により技能蓄積が可能になります。
仮設業界においても海外人材の活用には大きなメリットがあります。まず、国内で確保が難しい若年層の人材を安定的に確保できる点が挙げられます。また、一定期間をかけて足場組立の技能を習得してもらうことで、施工品質の安定化や現場のパフォーマンス向上につながります。加えて、多国籍メンバーが働く現場では、自然と多言語・多文化への理解が進み、現場のコミュニケーションが改善されるケースも増えています。結果として、慢性的な人手不足の緩和にも大きく貢献します。
一方で、外国人材の受け入れには慎重な準備と継続的なサポートが欠かせません。仮設工事は高所作業が中心となるため、安全教育の徹底は必須であり、言語の壁を超えた教育マニュアルや研修体制が必要です。また、技能を習得するまでには一定の育成コストがかかり、長期的に働き続けてもらうためには待遇・生活支援・職場環境の整備といった定着率向上の工夫も求められます。
こうした課題はあるものの、建設・仮設業界における海外人材活用は、もはや「一時的な人手不足対策」ではなく、産業構造として不可避の選択になりつつあります。今後は外国人材が安心して技能を発揮できる職場づくりが、企業の成長と事業継続に直結するといえるでしょう。
5.社会インフラ老朽化と「仮設」の重要性が高まる理由

日本では、1960〜1980年代にかけて整備された膨大な社会インフラが、一斉に老朽化フェーズに突入しています。高度経済成長期に建設された橋梁、水門、学校、病院、庁舎、上下水道施設は、いずれも耐用年数の節目を迎えており、国土交通省の試算では2030〜2040年に更新需要のピークが訪れるとされています。これは、建設業界全体だけでなく、仮設業界にとっても大きな影響を及ぼす重要な潮流です。
これらの更新工事は、老朽化したインフラを安全に補修・補強・改築する必要があるため、工事の多くが高所作業や狭所での施工を伴います。特に橋梁の裏側、トンネル内の天井部、校舎や公共施設の外壁補修などは、複雑で危険度の高い場所での作業が中心となるため、仮設の安全性・強度・施工性が従来以上に重要になります。
こうした背景から、社会インフラの維持・更新分野は、仮設業界にとって長期的かつ安定した需要を生み出す市場といえます。更新工事では、現場条件が厳しいほど高性能な足場システム、先行手すり、墜落制止用設備、安全ネット等の重要性が高まり、仮設資材の高度化が必須となります。また、工事の安全性向上と効率化のために、くさび緊結式足場や次世代足場の導入が加速しているのもこの分野の特徴です。
日本がこれから直面する社会インフラの大規模更新において、仮設業界が果たす役割はますます大きくなります。安全・品質・効率を確保するための仮設技術は、単なる補助的設備ではなく、国家的なインフラ維持に不可欠な基盤技術として位置づけられています。
6.DX・新技術・新工法が変える建設・仮設業界の未来

日本の建設業界は今、これまでにないスピードでDX(デジタルトランスフォーメーション)と省人化・省力化の技術革新が進んでいます。その背景には、深刻な人手不足、技能者の高齢化、現場の安全性強化、そして生産性向上という社会課題が複雑に絡み合っています。とくに仮設業界では、これらの課題を解決するために、デジタル技術と新工法の導入が急務となっており、“現場の変革”が大きく進みつつあります。
■DXがもたらす建設現場の変革
建設現場では、これまで「経験と勘」に依存していた多くの業務が、DXによってデータ化・可視化され、精度の高い工事管理が可能になってきました。
- 足場組立の工程管理アプリにより、現場進行をリアルタイムで管理
- 3Dモデルと連携したBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による足場計画で、施工前の干渉チェックや数量精査を高精度化
- 現場の進捗見える化ツールにより、工程遅延の予兆を把握
- 点検作業のドローン活用によって、危険箇所への立ち入りを削減
- AIによる労務予測・災害リスク検知により、安全管理レベルを引き上げ
これらの技術は、作業の属人化を解消し、現場の安全性×作業効率×生産性向上を両立するための強力な武器となっています。
7.建設業界と仮設業界は「課題」と「成長機会」が共存する転換期へ

2025年の建設業界と仮設業界は、人口減少による市場縮小や人手不足が進む一方で、老朽インフラ更新や都市再開発、リフォーム需要の拡大といった強い追い風もあり、縮小と拡大が同時に起きる“複合的な転換期”にあります。
その中で足場メーカーが果たすべき役割はますます重要性を増しており、
- 安全性向上
- 生産性改善
- DX活用
- 人材育成(国内+海外)
- 新工法・次世代足場の開発
これらを通じて、建設業全体の持続可能性を支える存在となることが求められています。