建設業における「仮設」とは?
―本設との違いと仮設工事の重要性を徹底解説―
建設業界で日常的に使われている「仮設」という言葉は、現場の安全や作業効率を語るうえで欠かせない重要な概念です。しかし、完成した建物や橋梁などに比べると、一般的にはあまり注目されていません。
仮設は、工事の進行中にだけ存在し、工事が完了すると解体・撤去される一時的な構造物や設備を指します。作業員の安全を守り、工期を守り、品質を安定させるためには、仮設の計画と施工が非常に重要になります。足場メーカーとして私たちは、日々の業務を通じてこの仮設の価値を強く実感しています。
ここでは、仮設の基本的な考え方や本設との違いに加えて、共通仮設と直接仮設の違い、建設業法における位置づけ、そして仮設工事がなぜこれほど重要なのかを整理して解説します。
Contents
1.「仮設」とは何か
建設業界では、完成後も長期間にわたって使われ続ける建物や構造物を「本設」と呼びます。本設は、工事が終わったあとも社会インフラとして機能し続ける存在です。
たとえば、次のようなものが本設にあたります。
- 一般住宅やマンション、商業施設、オフィスビルなどの建築物
- 橋梁やトンネル、ダム、堤防などの土木構造物
これらは完成後もその場所に残り、人々の生活や経済活動を支える役割を持ち続けます。
一方で、仮設は工事を進めるために一時的に設置される構造物や設備です。役割を終えた後は解体されるため、「地図に残らない仕事」と表現されることもあります。
工事現場の外部足場や内部足場、現場を囲う仮囲い、現場事務所、仮設橋、型枠や支保工などは、いずれも仮設に分類されます。いずれも工事が完了すれば撤去されますが、その期間中は安全と効率を左右する重要な役割を果たしています。
2.仮設工事の種類:共通仮設と直接仮設
建設現場で使用される仮設は、大きく「共通仮設」と「直接仮設」の二つに分類できます。それぞれが現場の中で異なる役割を担っています。
■共通仮設とは
共通仮設は、工事全体を安全かつ円滑に進めるために必要となる、現場共通の設備や構造物を指します。建物そのものをつくる作業には直接関わりませんが、現場運営の基盤となる存在です。
主な共通仮設の例
- 仮囲い(フェンス)
- 仮設事務所・詰所
- 安全通路・仮設階段
- 敷鉄板
- 仮設電柱・電気設備
- 工事用の移動式クレーン など
これらの共通仮設がしっかり計画されている現場は、出入りがわかりやすく、安全表示も明瞭で、資材搬入や作業員の動線も整理されています。その結果として、事故のリスクが下がり、工程も乱れにくくなります。
■直接仮設とは
直接仮設は、建物や構造物そのものをつくる作業に直接関わる仮設です。本設の施工と密接につながっており、施工品質や作業効率、安全性に直結します。
主な直接仮設の例
- 外部足場(くさび緊結式足場・次世代足場・枠組足場など)
- 内部足場
- 型枠および支保工(鉄筋コンクリート造の工事で必須)
- 作業ステージ など
足場メーカーである私たちが主に扱う製品は、この直接仮設に含まれます。足場は高所での作業に欠かせない設備であり、足場の構造や材質、組み方によって、作業者の安全性や作業スピード、仕上がり品質が大きく変わります。そのため、高い安全性と信頼性を備えた足場資材が求められています。
3.建設業法から見た「仮設」の位置づけ
建設業法では、建設業は 29業種(2025年現在) に分類されています。
この中で「仮設物の設置」を含むのが とび・土工工事業 です。
■とび・土工工事業で扱われる工種の例
- とび工事(足場の組立・解体)
- 重量物のクレーンによる運搬・据付
- くい打ち工事
- 土工事・掘削工事
- コンクリート打設工事
- 地盤改良工事
- 支保工・型枠関連工事
- 各種仮設工事 など
このように、仮設工事は単なる補助的な作業ではなく、建設業法で定められた専門領域として扱われています。
仮設は建築の主役ではないように見えますが、実際には工事全体の安全性・効率・品質を支える“縁の下の力持ち”であり、現場運営の生命線ともいえます。
4.仮設工事が重要とされる理由
仮設は、工事が終わると撤去されてしまうため、完成後の建物からは姿が見えません。しかし、現場の視点で見れば、仮設は工事の土台となる存在です。仮設工事が適切に計画され、確実に施工されているかどうかは、現場全体の安全性と生産性に直結します。
仮設工事が重要とされる主な理由は、次のような点にあります。
- 作業員の安全を守ることができること
- 作業品質を安定させることができること
- 工期短縮や段取りの効率化につながること
- 現場環境を整え、トラブルを未然に防ぐことができること
特に足場は、高所作業の安全に直結する設備です。不適切な計画や組立が行われると、転落・墜落事故など重大な災害につながるおそれがあります。そのため、設計段階から安全性を考慮した足場計画や、適切な資材選定、施工後の点検が非常に重要になります。
近年では、BIMや3Dモデルを用いた足場計画、現場管理アプリによる作業進捗の見える化、点検記録のデジタル管理など、仮設分野にもデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が広がっています。これにより、事前の検討精度が高まり、安全性と効率性を両立しやすくなっています。
5.まとめ:仮設工事は「見えないインフラ」だが価値は大きい
仮設は、完成後には残らない一時的な構造物や設備ですが、その重要性は非常に大きいと言えます。本設を安全かつ効率的につくり上げるためには、仮設工事の計画と施工が確実に行われている必要があります。
足場をはじめとする仮設は、現場の安全性、作業効率、品質、工期、コストにまで影響を及ぼします。まさに「見えないインフラ」として、建設プロジェクト全体を支えています。
足場メーカーである私たちは、安全性の高い製品の開発と提供を通じて、現場で働く方々の命と健康を守りたいと考えています。また、施工性や省力化、DXとの連携も視野に入れながら、仮設の価値をさらに高めていくことを目指しています。
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