くさび緊結式足場「Bタイプ」の特徴を徹底解説
―475mmピッチが生まれた理由と、住宅工事に選ばれる背景―
出典:ダイサン
くさび緊結式足場(クサビ式足場)は、現在の戸建住宅から中層建築まで幅広く採用されている代表的な足場システムです。その中でもポケット型でピッチ475mm(層高1900mm)を採用した「Bタイプ」は、住宅工事を中心に高い支持を得ています。
本記事では、Bタイプが誕生した背景から、具体的なメリット、安全性への寄与までをわかりやすく解説します。
Contents
1.Bタイプのルーツは「日本初のくさび緊結式足場」

出典:ダイサン
1970〜80年代、住宅工事で主流だったのは丸太足場や低層枠組足場でした。しかし、こうした従来足場では層高が1600〜1700mmと低く、住宅作業の効率化に課題が残っていました。
この課題に対し、1980年頃に株式会社ダイサン(旧・大三機工商会)が日本で初めて開発した『ビケ足場』が、現在のBタイプの原型となりました。
ビケ足場は、
- 作業性を高める1900mmの層高
- ハンマー1本で組立・解体できる施工性
- 専用部材による高い安全性と品質
など、当時として革新的な性能を備えていました。
2.なぜ「475mmピッチ」なのか

出典:ダイサン
Bタイプの大きな特徴であるポケットピッチ475mmは、住宅工事の実情から導き出された数値です。
■木造2階建て住宅の軒高に合わせた設計
1987年の建築基準法改正によって木造3階建て住宅が準防火地域で解禁されるまで、都市部の主流は木造2階建て住宅(軒高約6m)でした。
軒裏(軒天)や鼻隠し周りの工事を2段の足場で安全に行うためには、当時の丸太足場や低層枠組足場の層高1600 mm ~1700mmでは設計が難しく、1900mmの層高が必要でした。
このような背景から、「1900mm÷4段≒475mm」のポケットピッチが最適と判断されたのです。
■2層目の作業性・通行性の高さ
大屋根からの墜落防止として、手すり材を3本(上から、手すり・中さん・転び止め)設置する場合、転び止めを軒先の少し上(軒瓦より5~10cm上)に設定すると、層高さが低い足場では軒天から2層目作業床までの高さに余裕がなくなってしまいがちです。
一方、層高1900mmのBタイプは、従来足場と比較して10cmの余裕があるため、安全で作業性・通行性の高い作業空間を確保できます。
こういった理由から、住宅メーカー様の中には「住宅工事の足場はBタイプがいい」と考えられる方もおられます。
3.横ずれしない作業床が安全性を高める

出典:ダイサン
Bタイプは、層高が高いため、足場の架払い作業、特に作業床(床付き布枠)の設置・解体作業がしづらく感じる場合があります。しかし、作業床材もくさび緊結式を採用しているため、適切な作業手順とコツを覚えれば、スピーディーかつ効率的に作業を行うことが可能です。
また、作業床がくさびでしっかりと固定されるため、横ずれが生じにくい構造になっています。その結果、圧縮材(壁当て)を支柱ではなく作業床に設置でき、間柱の位置など、より強度を見込めるポイントを選んで柔軟に取り付けることが可能です。
4.足場は“現場に最適な選択肢を組み合わせる技術”である

出典:ダイサン
くさび緊結式足場にはA・B・Cタイプ、そしてフランジ型といった複数の種類があり、それぞれに固有の構造的特徴や得意とする現場条件があります。本記事で取り上げたBタイプも、建物の高さ条件に適した層構造や、作業床の安定性と通行性のバランスの良さなど、独自の強みを持った足場です。
私たち足場メーカーは、各タイプの特性を正しくお伝えし、現場ごとに最適な足場選定ができる環境を支えることも使命のひとつと考えています。今後も、現場の声に基づいた改善や安全性の向上、施工効率の追求を進めながら、より安心して使える足場システムを提供していきます。